すっかり秋めいて、朝晩が冷え込むようになったこの頃。そろそろインフルエンザ流行が気になる季節、もし今、上海で熱が出てしまったら、どうすればいいのだろうか?
上海市では現在、もし37・3度以上の熱があって、病院に掛かりたい場合は、原則、指定病院の「発熱外来(発熱門診)」に行くよう政府から通達されている。この外来では感染科、呼吸器科の専門医師が常駐するほか、内科の医師やレントゲンなどの臨床検査設備を整え、診療・治療に当たる。なおこの外来に掛かるすべての人は、PCR検査を受ける必要がある。事前予約は不要。
ただし一部病院では、子どもなどの発熱に対し、発熱外来以外での診療を再開しているところもあるので、発熱外来に行く前に、一度掛かり付けの病院や、日系病院へ電話で確認することをオススメしたい。
では、子どもが学校で熱を出してしまった場合はどういう手続きが取られるのだろうか? 上海市衛生健康委員会が5月に出した通知によると、もし校内の定期検温で37・3度以上の熱がある生徒がいた場合、保健室などでもう一度体温を測った後、やはり熱がある場合は保護者に連絡。保護者が学校へ来られる場合は、保護者が生徒を発熱外来へ連れていき、来られない場合は、救急車で発熱外来に向かう。そこでPCR検査を受け、結果が陰性、且つ医者が新型コロナウイルス感染症でないと判断した場合は自宅療養可。学校の判断で復学が許可される。検査や自宅療養の過程はすべて学校から配布されている「上海市学校方便就診カード」に記録され、学校へ提出する必要がある。
全国共通のQRコード
新型コロナウイルス感染症が流行していた一時期に比べ、国内移動はスムーズになった。とはいえ、いつ・どこで出るかわからない感染者や、それに伴う管理体制の強化は常に気を付けておきたいところ。今回紹介する全国統一健康QRコード「防疫健康碼」は、万一、上海市外で健康情報QRコードの提示を求められた時に使える、全国共通のカラーコードだ。
これは上海でいう「随申碼」と同じ機能を持つコードで、グリーン、オレンジ、レッドで個人の健康情報(感染リスク)を表示するもの。このカラーコード、当初は各省・地域でそれぞれが異なるアプリを使って発行しており、場所ごとに登録が必要なうえ、一部はパスポート利用不可など不便な点が多かった。しかし現在は「防疫健康碼」がほぼすべての省・地域をカバーしている。
1アカウントで3人利用可
「防疫健康碼」登録は微信ミニプログラム「国家政務服務平台」から行う。ミニプログラム中央にあるメニュー「ヘルスコード・トラベラーバージョン」を選択。先に電話番号を登録し、それから氏名、パスポート番号など、必要事項を記入すればコードが表示される。なお中国に入国後12時間以上経ってから、コードの使用が可能になる。また、自分の子どもや配偶者など、1つの電話番号に最大3人まで紐づけが可能だ。
ほか、コード下にある「ヘルスチェック」を押すと「現在咳、発熱など身体の不調があるか」などの質問項目が出てくるが、ここは基本的に操作しなくてOK。万一誤った回答を送ってしまうと、コードの色が変わったり、コード自体が表示されなくなったりしてしまうので、気を付けて。
発熱があって病院に行く場合は、発熱外来にて必ず受けなければならないPCR検査。一方で、毎日健康に過ごしていても、身近な人がコロナウイルス感染症に感染したり、出張先で感染者が出たりした場合、勤務先や学校からPCR検査を受けるよう求められるケースも。そんな時は自分で病院に向かい、検査費用を払って検査を受ける必要がある。その予約方法を紹介しよう。
現在、PCR検査を受けられる病院は市内に33カ所設置。そのうち、長寧区の「同仁医院」や浦東新区の「東方医院」など公立・民間機関計13カ所が、オンライン予約システム「新冠検測線上約」で予約を受け付けている。予約方法は簡単で、最初に受けたい病院を選択、予約日時、氏名、パスポート番号などの必要事項を記入し、支払いを済ませるだけ。後は病院に行って検査を受けると、最短翌日に同システムから検査結果を検索できる。なお、各病院では予約なしでもPCR検査が可能。ほか「東方医院」など一部病院は「Covid―19血清抗体検査」(80元)や「肺CT」(250元)も実施可能で、これらも同システムから予約可。
ちなみに、PCR検査費用は元々240元だったのが、6月末に120元に割引。同時に中国の医療保険適応となったため、対象者はほぼ無料となる。一方日本では、医師が新型コロナウイルス感染症の疑いありと診断すれば医療保険適応となるものの、海外渡航目的などの検査は全額自己負担で、その費用は2~4万円。先月、やっと検査費の減額が検討され始めたが、中国と比べると、検査費用はかなり高額と言えるだろう。