【上海=河崎真澄】香港の公共放送RTHK(電子版)によると、香港の繁華街、旺角(モンコック)で8日深夜から9日早朝にかけ、屋台の取り締まりに反発した市民に「本土派」と呼ばれる急進的民主派が合流してデモが起き、警官隊と衝突した。警官隊はデモ隊への催涙ガスに加え、空に向けて2発の威嚇発砲を行った。デモ隊にも銃口を向け、騒乱が拡大した。
香港のデモで警官隊の発砲は極めて異例。9日朝までにほぼ鎮圧され、デモ参加者ら24人の身柄が拘束された。デモ参加者と警官のほか、地元テレビのカメラマンなど合わせて44人が負傷した。警官の発砲によるけが人はいないもよう。
春節(旧正月)の8日に繁華街にたった屋台の取り締まりがきっかけで、市民や急進民主派の若者らが路上の大きなゴミ箱を警官隊に投げつけるなどの騒ぎとなった。デモ参加者は数百人という。香港警察は威嚇発砲などについて、「治安維持のため最低限の武力行使だった」と釈明した。
今回のデモの背後にある急進民主派は、中国本土から来る中国人を排除して自分たちの「本土」である香港を守ろうと訴えているグループ。香港行政長官の選挙制度民主化をめぐる非暴力デモを2014年に行った学生団体とは一線を画している。「本土派」は中国共産党政権を批判する「禁書」を扱っていた香港の書店関係者が、中国側に相次ぎ拘束された問題でも不満を強めた可能性がある。
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