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中国の新100元札、「偽造防止の新技術」が採用されたのに紙幣識別機は「偽札」と判断、ATMも取り扱い不能=中国ネット「発行早々メンツが…」Record China 11月13日(金)
13日、央広網によると、中国吉林省長春市で、前日に発行が始まった新100元札を入手した人から「想定外のトラブル」が報告されている。写真は新100元札のサンプル。
2015年11月13日、央広網によると、中国吉林省長春市で、前日に発行が始まった新100元札を入手した人から「想定外のトラブル」が報告されている。
中国人民銀行は12日、偽造防止の新技術を施した新100元札を発行した。デザインは旧版と同じく初代中国国家主席、毛沢東氏の肖像だが、表面の「100」の文字が見る角度によって色が変わるなどの偽造防止技術が採用されている。しかし、同日に銀行窓口で新100元札4枚を入手した同市のネットユーザーが中国版ツイッター・微博(ウェイボー)に「要注意!偽造紙幣の検出機には引っかかるし、銀行のATMも識別できなかった」と投稿。記者があるスーパーで試してもレジの機械は「偽札」と判断し、店員からは「申し訳ございません。新100元札対応の機械ではないので…」と受け取りを拒否されたという。スーパーの店舗内にあるATMも新版を識別できず、ATMを設置した銀行からの回答は「対応処理が終わっているのは一部のATMだけ。今週中には全てのATMで完了する見通し」だった。
この報道に対し、ウェイボーには「自分も同じ体験をした!」「偽札がもっと出回りやすくなるんじゃないの?」「本当に偽札だったとか…」というコメントや、「発行早々、メンツがつぶれた」「紙幣識別機メーカーにとってはうれしいニュースだろう」などの意見が寄せられている。
「爆買い」1日で1.7兆円=独身の日、過去最高―中国
時事通信 11月12日(木)
【北京時事】中国で「1」が並ぶ11月11日の「独身の日」に展開されるインターネット通販の値引き商戦で、中国電子商取引最大手・阿里巴巴(アリババ)は、同日の売上高が912億1700万元(約1兆7600億円)に達したと発表した。
昨年の571億元を大きく上回り、史上最高を更新。中国「爆買い」のものすごさを改めて示した。
アリババグループは12日未明、微博(中国版ツイッター)で「これは消費の力であり、新たな経済の力、われわれ一人一人の力だ。さらに中国の力だ」とつぶやいた。国営新華社通信によると、電子商取引による宅配便注文件数も11日、前年同期比65%増の4億6000万件に上った。
「双11(11月11日)」と呼ばれる値下げ商戦は2009年、アリババが「ひとり者」を対象に「自分にプレゼントを」というキャンペーンを始めたのがきっかけ。中国経済が減速する中でも、ネット通販市場は急成長を続けており、中国政府も個人消費を後押しする「双11」に期待を寄せている。
アリババは輸入品を専門に扱う傘下の通販サイトを通じ、日本企業の出店を誘致してきた。中国で日本製品の人気は高く、11日の値引き商戦には多くの日本企業も参加。新華社通信は論評で、「双11」に関し「世界各国の共同発展にさらに多くの活力を注入し、チャンスをもたらす」と強調した。
中国で新たな不動産ブーム!東京にも投資の波が殺到する過熱ぶり陳言 [在北京ジャーナリスト] 2015年11月13日 DOL
深センで新築マンション1637戸に、1万人超が殺到し即完売
澎湃ニュースによると、11月7日午前10時から午後4時の間に、深センで平均価格1平方メートル当たり4.35万元(約83万円)の新築マンション1637戸が完売し、契約金額は60億元(約1178億円)に達したという。
購入者希望者が1万人を超えたため、不動産デベロッパーは仕方なく販売センターを深セン湾スポーツセンターに設けた。今回の発売会は地元の住宅購入者に「人気コンサート」のようだったと言われている。
深センの不動産価格はなぜ全国トップなのか
不動産ブームが最も過熱している深セン
メディアの報道をまとめると、先日、中国指数研究院が発表した100都市の価格指数で、100都市すべての不動産価格が連続6ヵ月再上昇し、深センでは北京・上海・広州を超えて32.7%の暴騰となった。
価格は例外なく市場需給が決定的な要因となっている。2013年の深セン警察局のデータによれば、実際の管理人口はすでに1800万人を突破しており、広州を超え、北京に迫る勢いだ。
反面、深セン市の総面積は北京の8分の1、広州の4分の1しかない。そのうえ深セン政府は深センの総面積の48.8%をエコ・グリーン地帯とする計画で、加えて都市の公共の商業付属施設や交通計画などにより、住宅用地の開発はすでにまったくその余地がなくなっている。
2014年までに深センでは計画建設面積の99%の使用を終えており、残る開発可能な土地はほとんどが中心地区以外のものである。また別の面においても、深センは全国でも科学技術イノベーションの中心であり、全国の高学歴の若者が流入し、若者は同時に不動産購入の主要な年齢層でもある。これらの要因がすべてあわさり、深センの不動産価格が全国記録を絶えず更新しているのは、不思議なことではないようだ。
一級都市ではブーム、三・四級都市では泥沼化、もはや常軌を逸した不動産市場
『証券時報』によると、今年に入って一級都市では、尋常ではない高値による不動産の購買合戦が繰り広げられ、これによって将来的に北京では1平米あたり10万元の住宅プロジェクトが50件も計画されることになるという。
上海でも不動産市場が異常に過熱
今年の1月から10月まで、上海の新築高級住宅の取引件数は2.9倍に跳ね上がった。まるで土地を奪い合うかのような勢いは、すでに他の都市にまで広がっており、10月下旬以降、北京、南京、杭州、温州、仏山の五つの都市では10日もたたないうちに、「地王(どんなに値段が高くても土地を購入しようとする不動産業者)」が6社も誕生した。
だが、これはとても危険なギャンブルだ。もし都市全体が高級住宅化したり、一般住宅までもが高級住宅化したりするならば、どれほどの人々がその状況に対応することができるだろうか?
専門機関の概算によると、1平米あたり10万元の高級住宅市場における北京の将来的な供給規模は4000から5000軒であり、供給と需要の比率はだいたい20:1で、供給が需要を大きく上回ると予想されている。
実のところ、一部の開発業者はすでに経営が回らなくなってきている。近ごろ、著名な不動産デベロッパーである碧桂園と龍湖が土地を返上したというニュースが伝えられた。それと共に、一級都市とは反対に三・四級都市で不動産市場は泥沼化の状況を呈しており、もはや尋常ではなくなっている。
多くの中国人投資家たちが東京の不動産に照準
不動産投資の波は東京にも押し寄せている。『ウォールストリート・ジャーナル』は11月4日、ますます多くの中国人投資家が現在、東京の不動産に狙いを定めていると報じた。彼らを引き寄せているのは、その安定した収益と、この市場ではハイグレードな建築物の需要が強いこと、そして訪日観光客の宿泊需要があることだ。
目黒雅叙園アルコタワー
記事によると、30歳の中国の企業家・牛志方は、7月に会社の寮として使われていた建物を購入した。約2億円をかけて学生用マンションに改造する計画だ。
中国投資公司(CIC)は1月にジョーンズ・ラング・ラサール傘下のラサール・インベストメント・マネージメントと共同で東京の目黒雅叙園を買収した。復星集団は昨年、オフィスビル2棟を買収し、現在はホテルの買収を検討中だ。
記事は、中国人の東京の不動産市場への投資額は、ニューヨークやロンドン、シドニーなどに比べまだ少ないが、今後数年間でこうした状況が変わる可能性があると指摘している。過去1年間で、東京都心部のオフィスビルの賃貸料は平均で4.7%上昇している。
人民元、基準通貨入りへ=30日決定―IMF時事通信 11月14日(土)
【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)は13日、準備資産「特別引き出し権(SDR)」の算定基準となる通貨に中国・人民元を加えるのが妥当との報告を正式発表した。
IMF加盟国から大きな反対の声は上がっておらず、元は30日の理事会で、ドル、英ポンド、日本円、ユーロに続き、5番目の基準通貨に決定される見通しだ。
元が基準通貨入りすれば、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設を主導する中国が、国際金融で一段と存在感を強めることになる。
基準通貨への採用は「貿易での利用量」や「取引の自由度」が条件。IMFは報告で、中国が取り組む市場改革を評価し、理事会に「元は(量だけではなく)自由度でも条件を満たした」との見解を伝えた。
ラガルドIMF専務理事は「報告を支持する」と明言。加盟国代表で構成する理事会に承認を仰ぐ意向を示した。
元の基準通貨入りを要求する中国に対し、米国や日本は当初、警戒姿勢を示していた。しかし、中国との経済緊密化を狙う欧州諸国が賛成に傾いたため、日米も「基準を満たせば支持する」などと姿勢を軟化させた。
SDRはIMF加盟国に出資額に応じて配分される仮想通貨で、外貨不足に陥った国は、手持ちのSDRを米ドルなどと交換できる。今年は5年ごとの構成通貨の見直し作業が行われた。
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日本経済新聞 電子版
内閣府が16日発表した2015年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%減、年率換算では0.8%減だった。4~6月期(年率換算で0.7%減)から2四半期連続のマイナス成長となった。中国景気の不透明感などを背景に、企業の設備投資が低調だった。実質賃金の改善傾向が続く中で、前期に落ち込んだ個人消費は持ち直した。
QUICKが13日時点で集計した民間予測の中央値は前期比0.1%減、年率で0.3%減だった。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.0%増、年率では0.1%増だった。僅かながら、4四半期連続のプラスだった。
実質GDPの内訳は、内需が0.3%分のマイナス寄与、外需は0.1%分の押し上げ要因だった。
項目別にみると、設備投資は1.3%減と、2四半期連続のマイナスだった。企業収益は過去最高水準で推移しているが、設備投資への意欲は高まらなかった。企業が手元に抱える在庫の増減を示す民間在庫の寄与度は、0.5%分のマイナスだった。
個人消費は0.5%増と、前期(0.6%減)から2四半期ぶりに増加に転じた。公共投資は0.3%減と、2四半期ぶりにマイナスとなる一方、住宅投資は1.9%増と3四半期連続でプラスだった。
輸出は2.6%増、輸入は1.7%増だった。輸出の回復ペースは鈍かったものの、原油安などの影響で輸入の伸びも小さく、GDP成長率に対する外需寄与度はプラスとなった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス2.0%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.2%上昇した。
2015年度の実質GDP成長率が内閣府試算(1.5%程度)を実現するためには、10~12月期、16年1~3月期で前期比年率4.7%程度の伸びが必要になるという。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
傾斜マンション問題の補償費用分担を巡る3つの論点が、三井住友建設と旭化成の発言から浮かび上がってきた。
■管理責任どこまで
一つ目は三井住友建設の管理責任だ。元請けは本来、工事が適正に進むようにする責任がある。だが、三井住友建設の永本芳生副社長は「旭化成建材を過信したことが根本の原因」と述べるなど、自社の責任は限定的という立場だ。問題のマンションの地盤は地中十数メートルにある強固な「支持層」の起伏が激しいが、「国の指針に基づいて管理すれば十分にやってもらえると思っていた」と話す。
一方、旭化成の関係者は、「特殊な地盤のため国の指針に従うだけでは適正とは言えない」と話している。
■工期圧力の有無
もう一つの焦点は工期厳守の圧力の有無だ。
三井住友建設の永本副社長は工期について「非常に余裕があった。(長い杭に交換するため)仮に2~3週間かかっても全体の工期の中で吸収できた。販売者の三井不動産レジデンシャルとの関係は深く、言ってくれれば対応した」と話した。
しかし旭化成の平居正仁副社長はこれまでの会見で「工期が現場へのプレッシャーになったかじっくりヒアリングしたい」と述べるなど、工期厳守の圧力があった可能性を示唆する。杭の交換も三井住友建設は「10日ほどで可能」との認識に対し、旭化成は「1カ月かかるため、工期への影響は避けられなかった」と両社の主張はすれ違う。
■杭は本当に未達か
さらに決定的なのが「本当に杭は支持層に未達か」という点だ。三井住友建設は「傾いた棟に使われている計8本の杭が支持層に未達だったり届き方が不十分だったりする」との見解だ。
ところが旭化成の平居副社長は以前の会見で「工事をした当事者らは『杭は支持層に到達した』と口をそろえている」と述べてきた。杭以外に傾斜の原因がある可能性も指摘している。(藤野逸郎、新井惇太郎)
非コメどころの猛追で王者・新潟も逆襲へ、ブランド米戦国時代を制するのは?ダイヤモンド・オンライン編集部 2015年11月13日
コメがまずいと言われ続けてきた北海道や青森県が次々に新品種を開発し、ブランド米市場を席巻している。過去5年で、コメの食味ランキングの最高位「特A」は倍増。今や全国でブランド米大競争が起きている。
初登場でコシヒカリ超え!青森県、悲願の「特A」米
「青天の霹靂」(青森県)や「森のくまさん」(熊本県)など、変わった名前ながら「味は折り紙付き」と評価される新興ブランド米が多数誕生している
「これまで、取ろうと努力をしても、取れなかったのですが…」。
1971年から実施されている日本穀物検定協会の「米の食味ランキング」。最高ランクの「特A」が取れるかどうかは、コメの生産者や農協、都道府県関係者にとって、大きな関心事だ。
青森県はこれまで、一度も最高ランク「特A」を取ったことがない。しかし、ここにきてようやく悲願の「特A」取得に成功した新品種「青天の霹靂」が、先月から発売された。
青森県内でもスーパーに行列ができただけでなく、首都圏でもイベントを開催した銀座三越で「青天の霹靂」フェアが盛況となるなど、出だしは好調だ。
県担当者は「ブランド米としてはむしろ後発。しかし、味わいの良さは、ランキングの審査員の方々からも高い評価を頂いた。また、意表を突いたネーミングや米袋のデザイン、さらには青森県内でしか放送をしていませんが、テレビCMを打つなどの広告戦略も成功したのでは」と話す。
青森県だけではない。過去数年、新興ブランド米が続々と誕生している。
上図にあるように、「特A」を取得した銘柄の数は、過去5年で倍増した。
さらに、2014年産で「特A」を取得した銘柄(右図参照)を見てみると分かるように、依然「コシヒカリ」が強さを見せつけているものの、北海道や青森県、熊本県など、かつては、コメに関してはパッとした印象のない道府県が作った、独自ブランドのコメがランクインしている。
“最強”と名高い新潟県産「コシヒカリ」は、価格面でも新興ブランド米に押され気味だ。
魚沼産「コシヒカリ」だけは別格で、今も最高値の地位を維持しているものの、そのほかの新潟県産「コシヒカリ」に関しては、「青天の霹靂」や「つや姫」(山形県)、そして「ゆめぴりか」(北海道)などに価格で逆転された。
コメ作りもPRも戦略的に、全国区目指すホクレンの野望
全国区のブランド米を作った成功事例として知られるのが、北海道のブランド米戦略だ。かつて、北海道のコメは「やっかいどう米」などと言われ、「安いだけが取り柄の美味しくないコメ」の代表格だったが、今や「ゆめぴりか」「ななつぼし」「ふっくりんこ」など、全国でも名の知られたブランド米を多数生産する地域に変身した。
北海道米を成功に導いたポイントの1つは、大胆なテレビCM戦略だ。せっかくうまいコメができても、知名度が低ければ、値段も安いままだし、数もさばけない。たとえば「ななつぼし」は販売後、10年経っても首都圏での認知度は4割程度でしかなかった。
大ブレイクをしたマツコ・デラックスさんを起用したホクレンのCM。北海道のブランド米を一気に全国区に押し上げる威力を発揮した
やはりブレイクを果たした山形県のブランド米「つや姫」は、関東限定で阿川佐和子さんを起用したCMを流していた。「ゆめぴりか」は道外で本格的に売り出したい。そう考えたホクレンは、タレントを起用して関東や関西、中京地区など、大々的にCMを打つことに決めた。
特に大ブレイクしたタレント、マツコ・デラックスさんの起用が当たり、CM前は東京で2割だった「ゆめぴりか」の知名度は、今では9割になった。同じく「ななつぼし」も8割に向上している。
もう一つ、ブランド米として生き残れるかどうかを左右するカギは、高品質の維持にある。「独自の基準を満たした、いいコメしか『ゆめぴりか』を名乗れません。合格率は毎年75〜80%です」。ホクレン米穀事業本部米穀部主食課の南章也課長は、こう話す。基準外のコメはブランド名を名乗れず、業務用などに流通していく。
こうした業務用向けは売値は安いうえに、「ゆめぴりか」は収量が少なめ。「名乗れない『ゆめぴりか』種を作るくらいなら、最初から価格の安いコメを作った方が儲かります」(同)。
「青天の霹靂」もやはり、独自基準を設けて収穫したコメを選別するほか、青森県が生産者指導プロジェクトチームも結成。水田の土壌分析をして、問題があれば土壌改良をしてもらうなどの対策を講じている。このほか、山形県の「つや姫」も、こうした基準を設けているブランド米だ。
産地を競わせ品質を強化、迎え撃つ新潟県の“新兵器”は?
さらにホクレンは今年から、「『ゆめぴりか』コンテスト」を実施。「ゆめぴりか」の中でも、最優秀サンプルに選ばれた「最高金賞ゆめぴりか」は、12月下旬から、魚沼産コシヒカリと同程度の価格で、数量限定販売をする予定だ。
また、「ゆめぴりか」の基準を満たしていることを示す「認定マーク」の周知徹底にも力を入れる。今年10月から新たに開始したマツコ・デラックスさんのCMは、この「認定マーク」を消費者に知ってもらいたい、との思いが込められている。
ホクレンが品質維持に躍起になる背景には、不透明な流通が横行していることにある。実際、基準を満たしていないのに、こっそり「ゆめぴりか」を名乗って販売されていたケースも見つかっている。「違法行為」ではないのだが、ブランド維持のために好ましくないことは、言うまでもない。
生産者に品質を守ることを意識してもらい、さらに切磋琢磨をしてもらうとともに、「よい米を作れば、高く売れる」という好循環を作って行かなければならない。
ブランド米ブームも後押ししているため、発売直後は売れるかも知れないが、長い目で見れば、「いつ買ってもおいしい」と評価される実績を積み重ねなければ、ブランド米として安定した地位を築くことはできない。新興ブランド米に広がった、厳格な基準による生産者への指導や、収穫したコメの選別の流れは、今後も広がって行くだろう。
こうした攻勢を迎え撃つ新潟県は来年、新ブランド米「新之助」を世に出すことが決まっている。「コシヒカリ」と肩を並べるトップブランドという位置づけで、「ゆめぴりか」や「つや姫」「青天の霹靂」と同じように、厳格な基準で選別を行う。
米価は下落傾向が続いており、昨年度などは「暴落」と言える落ち込みぶりだった。そんな環境下にあって、「各県とも、ブランド米に賭ける意気込みは大きいはず」(青森県農林水産部販売戦略課)。ブランド米は、コメ農家の生き残りにも大きく影響する戦略商品なのだ。(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)
通知カードが届かない!?ついに始まったマイナンバー大混乱
週刊ダイヤモンド編集部 【15/11/21号】 2015年11月16日
『週刊ダイヤモンド』11月21日号の第1特集は「マイナンバー最新対策」。この10月下旬からマイナンバーの通知がスタートしました。2016年1月からは税・社会保障分野で利用が始まり、すべての企業がこれに対応をしなければなりません。ところが、その現場では戸惑いが広がり、悲鳴さえ上がっています。その実態をつぶさに追い、企業がこうした混乱に巻き込まれないための「最新版対策」をご紹介します。
続々届く膨大な数の簡易書留にあぜんとする浦安市役所職員
10月30日、千葉県の浦安市役所に届いた簡易書留の膨大な数に、担当職員はあぜんとさせられた。
その数、約1000通。封筒には、市内の約1000世帯に向けて発送された社会保障・税番号(マイナンバー)の「通知カード」が収められている。
同市では全国に先駆けて同月23日から郵便局員による配達が始まった。
しかし不在などの理由で宛先の住人の手元に届かなかった書留は、郵便局で原則7日間保管した後に順次、市区町村役場に送り返されることになっている。
11月に入ってからも、浦安市役所には毎日のように数十通から数百通の書留が届き、10日時点で約4000世帯分に達した。すでに市内約7万5000世帯の5%を超えたが、「未達」の書留はさらに増え続ける見込みだ。「最終的にどのくらいの未達が出るのか、全く予想がつかない」と職員は頭を抱える。
日本郵便によると、11日までに全国で配達した720万通のうち、4.3%に相当する31万通が未達だった。配達量が増えるにつれ、未達数が今後も積み上がるのは必至だ。今のところ、全国民の1割程度しか通知カードは届いていない。
なぜ大量の未達が出るのか。
そもそも浦安市のような都市部では、住人の帰宅時間が遅かったり長期出張中で書留を受け取れなかったりするケースが多い。また、宛先は10月5日時点の住民票の住所のため同日以降に転居した場合、住民票を移していても最初は旧住所に送られてしまう。
通知カードの書留は「転送不要」のため、郵便局に転送届を出していても自動的に役所に送り返されてくるのだ。
そこで市は通知カードを保管している旨を記した封書を近く発送し、役所まで取りに来てもらうか、要望があれば書留で再送する方針だ。普通郵便で封書を送れば転送先住所に行き着くので、住人の所在を〝追跡〟できる。
それでも連絡が取れなかった場合、通知カードを送り届ける作業は困難を極める。役所での保管期限は最短3ヵ月間。多くの自治体では専従の職員チームを編成し、所在不明者の行方を追うべく臨戦態勢を取る。
そんな中で聞こえてくるのは、国への恨み節だ。自治体職員は、総務省の事務処理要領を参照しマイナンバー制度への対応を行うが、この要領の最終版が確定したのは法施行直前の9月末だった。職員は「想定外の事態を考える余裕もなく、要領を読み込みながら実務を同時に進めている」(神奈川県のある自治体職員)というドタバタぶりだ。
11月中配達は絶望的?当初予定の延期で現場から悲鳴
しかし「想定外」の事態は早くも起こっている。
千葉県内の介護付き有料老人ホームでは、住民票を自宅から施設に移した入居者の通知カードが届き始めた。しかし施設入居者の中には判断能力が低下し、マイナンバーを自ら管理できない高齢者も多い。実は、介護施設が入居者のマイナンバーをどう取り扱うかいまだにルールが定まっていない。留意点をまとめた事務連絡は、厚生労働省が10月中をめどに通知する予定だったが、「関係各所の調整に時間がかかっている」(厚労省保険計画課)として遅れているのだ。
施設職員は「ルールがはっきりしないので勝手に家族に渡すわけにもいかない。結局、開封しないまま金庫に保管している」。国の方針決定の遅れで現場に混乱が生じているのだ。
通知カードは、地方公共団体が共同運営する「地方公共団体情報システム機構」(J‐LIS)が作成し、全国各地の郵便局へ発送する手順になっている。しかし全国の郵便局が引き受ける予定の5600万通のうち、11月11日時点で実際に届いたのは4割程度に過ぎない。
1億2000万枚という全国民の通知カードを一度に印刷するには、業務を担う国立印刷局の既存施設ではキャパシティに限界があり、印刷や封入が終わっていない通知カードが大量にあるためだ。
国は11月中に全世帯への初回配達を終える目標だが、仮に郵便局に通知カードが届いたとしても、そこから局内での仕分けや確認作業を経て実際に配達を完了させるには、引き受けから7~20日間を要する。横浜市や大阪市など大都市の郵便局に通知カードが届くのは11月中旬以降とみられ、「11月中」という政府の目標達成はほぼ絶望的な状況なのだ。
こうした通知カードの配達遅れは民間企業にとっても死活問題となる。
ついに始まったマイナンバー大騒動、本当にやるべきことは何なのか?
『週刊ダイヤモンド』11月21日号の第1特集は「マイナンバー最新対策」です。住民1人1人に割りふられた12桁の個人番号。その通知カードの配達をめぐって今、不安や困惑が広がっています。
ただし、通知カードにびくつく必要はむろんありません。通知カードが届いたら当面、なくさないよう大事にとっておいてください。大企業の皆さんは、勤務先から「通知カードが届いたら、コピーを送付するように」と「マイナンバーキット」を渡されているかもしれません。その手続きに従うだけです。
なお、個人番号カードを持っていると、いろいろな提出手続きがラクになります。希望する人は2016年1月以降、交付申請してください。
厄介なのは、個人ではなく、企業のほうの対応です。すべての企業は2016年1月以降に順次、税と社会保障の分野の手続きで、個人番号を使うようになります。その取り扱いには、「番号の利用目的をはっきりさせないとダメ」「番号がその人のものと確認しないとダメ」「きちんと安全に管理、保管、破棄しないとダメ」と、さまざまな制約が課せられます。
しかも、漏えい、不正提供などしようものなら、厳しい罰則が設けられています。個人情報保護法などとは比べ物になりません。大きな重圧がかかるのです。
こうして対応に翻弄される企業のドタバタ事情を、外食、小売り、銀行、保険、製薬、病院、電力、通信、建設、介護、大学の各業界で追いかけました。
企業のマイナンバー対応は、ビジネスチャンスとなるのも確かです。50万円近くの顔認証ロック付き金庫は売上げ倍増、鍵付きアタッシュケース、パーテーションなども飛ぶように売れています。
一方対応システムの特需で、恵まれているはずのITベンダーは、食うか食われるかの白兵戦に突入、地殻変動の只中にあります。税理士や社会保険労務士なども、制度対応できないと仕事を奪われる死活問題とっています。
企業のマイナンバー対応がさらに厄介なのは、「正しい対策」「賢い対策」の中身が変わってきていることです。10月に入って以降も突如、ガイドラインが改定され、また社会保険などの新たな注意ポイントが明らかにされました。
早くから着手していた大企業も安心していられません。2016年1月の実務開始が近づくにつれてクリアになってきた「最新対策」を徹底解説します。
「マイナンバー対応はまだ……」という中小企業の皆さんも、頭を抱える必要はありません。まだ間に合います。おカネをかけずに、賢く対策する方法はあります。今、本当にやるべきことは何なのか? ぜひ本特集をご一読ください。(『週刊ダイヤモンド』編集部 重石岳史、小栗正嗣)
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歴史的政権交代へ=スー・チー氏野党、過半数制す―与党惨敗・ミャンマー総選挙時事通信 11月13日(金)
【ヤンゴン時事】8日投票が行われたミャンマー総選挙で、連邦選挙管理委員会が13日発表した開票結果によると、アウン・サン・スー・チー党首率いる最大野党・国民民主連盟(NLD)が上下両院の過半数の議席を獲得して圧勝した。
これにより、スー・チー氏主導の民主派政権が来年春に発足、半世紀以上にわたって「軍人支配」が続いてきたミャンマーで、歴史的な政権交代が実現することになった。
選管は上下両院(定数合計664)の改選議席491議席中431議席の開票結果を発表。NLDは獲得議席を348議席まで伸ばし、過半数を制した。一方、軍事政権の流れをくむ政権与党・連邦団結発展党(USDP)は40議席にとどまっており、惨敗を喫した。
2011年の民政移管後、初めての総選挙となった今回、「変革」を唱えるNLDに対し、USDPはテイン・セイン政権が進めてきた改革路線への支持を訴えたが、国民がスー・チー氏に寄せる高い人気の前に圧倒された。
テイン・セイン大統領の任期は来年3月末まで残っており、今回の選挙結果を受けて招集される新国会で新大統領の選出投票が行われるのは同2月となる見込み。
息子2人が外国籍のスー・チー氏は憲法の規定で大統領になれない。具体的な大統領候補の名前も明かしていないが、「大統領より上の存在」として実質的にNLD政権を自ら指揮する方針。
<変化するミャンマー>現地写真報告 選挙の陰で―民衆の暮らしは今 (写真11枚) 宇田有三 アジアプレス・ネットワーク 11月13日(金)
ミャンマー(ビルマ)で行われた総選挙に合わせて、フォトジャーナリストの宇田有三氏は投票日までの3週間、最大都市ヤンゴンと、最も経済的に貧しいといわれる西部ラカイン州を回り、現地の人びとの生の暮らしを写し撮った。
街一番の目抜き通りに掲げられた候補者のポスターに黒いインクが投げつけられていたが、投票まで1週間というのに、そのまま放置されている。(ラカイン州)撮影 宇田有三
街一番の目抜き通りに掲げられた候補者のポスターに黒いインクが投げつけられていたが、投票まで1週間というのに、そのまま放置されている。
上座仏教が支配的なミャンマー(ビルマ)最大の行事は、4月中旬に行われる正月のティンジャン(水かけ祭り)。その次に大切な行事は、10月の満月のカソン月(雨安居開け)である。この日、全国のパゴダでロウソクが灯される。撮影 宇田有三
上座仏教が支配的なミャンマー(ビルマ)最大の行事は、4月中旬に行われる正月のティンジャン(水かけ祭り)。その次に大切な行事は、10月の満月のカソン月(雨安居開け)である。この日、全国のパゴダでロウソクが灯される。
夜明け前の市場、懐中電灯の光で野菜の品定めをし、お金のやりとりをする。(ラカイン州)撮影 宇田有三
夜明け前の市場、懐中電灯の光で野菜の品定めをし、お金のやりとりをする。(ラカイン州)
インフラが未整備な地方では、手作業で道路建設が続けられている。(ラカイン州)撮影 宇田有三
インフラが未整備な地方では、手作業で道路建設が続けられている。(ラカイン州)
ビルマ最大の都市ヤンゴンの中心を貫く「ウイザヤー通り」は僧正の名前に由来する。建設中の建物によって、像の背景の青い空は消えていく。今しか見ることができないヤンゴンの風景がある。撮影 宇田有三
ビルマ最大の都市ヤンゴンの中心を貫く「ウイザヤー通り」は僧正の名前に由来する。建設中の建物によって、像の背景の青い空は消えていく。今しか見ることができないヤンゴンの風景がある。
ヤンゴン郊外から街の中心を望む。本来なら黄金色に輝くシュエダゴン・パゴダ(左端)が目立つはずであるが、建設中のビル群によってその姿は隠されつつある。撮影 宇田有三
ヤンゴン郊外から街の中心を望む。本来なら黄金色に輝くシュエダゴン・パゴダ(左端)が目立つはずであるが、建設中のビル群によってその姿は隠されつつある。
ヤンゴン市内を走る車が急増し、あちこちで交通渋滞を引き起こす。撮影 宇田有三
ヤンゴン市内を走る車が急増し、あちこちで交通渋滞を引き起こす。
電気の通わない街でも、ビルマでは携帯電話やスマホは必需品。夜が明ける前の喫茶店でスマホの画面に見入る男性。(ラカイン州)撮影 宇田有三
電気の通わない街でも、ビルマでは携帯電話やスマホは必需品。夜が明ける前の喫茶店でスマホの画面に見入る男性。(ラカイン州)
インフラ整備が急ピッチで進められているラカイン州。電柱や送電線の鉄塔の建設が進む。撮影 宇田有三
インフラ整備が急ピッチで進められているラカイン州。電柱や送電線の鉄塔の建設が進む。
今年10月24日はイスラーム教シーア派のイマームのフサインの殉教を悼む日(アーシューラー)にモスクの屋上で礼拝するムスリムたち。(ヤンゴン)撮影 宇田有三
今年10月24日はイスラーム教シーア派のイマームのフサインの殉教を悼む日(アーシューラー)にモスクの屋上で礼拝するムスリムたち。(ヤンゴン)
ヤンゴンから郊外の町に向けて高架橋が整備され始めた。撮影 宇田有三
パナソニック、シンガポールで植物工場野菜「ベジーライフ」販売開始へみんなの経済新聞ネットワーク 11月13日(金)
パナソニックの子会社、パナソニック・ファクトリー・ソリューションズ・アジア・パシフィックが11月12日、植物工場で生産された野菜の販売を始めたと発表した。新ブランドは「ベジーライフ」。(シンガポール経済新聞)
パナソニックは工業地域での屋内農場のライセンスをシンガポールで初めて取得。昨年は77平方メートル3.6トンだった生産能力を634平方メートル81トンまで拡大した。パナソニックのLED照明、FAの技術を転用し、最適な栽培環境を制御することによって、無農薬で高栄養価の野菜を安定的に供給できるシステムだ。今後もシンガポールの地産野菜を増やしていく予定。
シンガポールは国土が限られているため、農産物のほとんどを輸入に頼っている。日本のような鮮度の高い野菜が手に入らないことが課題となっている。シンガポール政府は国内自給率向上を目標に掲げており、国内での野菜生産に力を入れている。
今回販売された野菜はサラダカップ3種類。マリーナスクエアにオープンした「エンポリアム・ショクヒン」のほか、明治屋、伊勢丹スコッツ店、伊勢丹ウエストゲート店で販売しており、今月末にはBig Boxハイパーマーケットと一部のフェアプライスでも取り扱いを始める。(みんなの経済新聞ネットワーク)
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テロリストを憎まず=遺族の文章に共感—パリ同時テロ
時事通信 11月21日(土)
【パリ時事】「私は君たちを憎みはしない」。
パリ同時テロで妻を失ったフランス人ジャーナリスト、アントワーヌ・レリスさん(34)がテロの実行犯に向け、フェイスブックに投稿した文章が世界中の共感と同情を集めている。
仏メディアによると、レリスさんの妻エレーヌさん(35)は、最多の犠牲者を出したバタクラン劇場で襲撃に巻き込まれた。レリスさんは最愛の妻を亡くし、1歳5カ月になる息子メルビルちゃんが残された。
やり場のない悲しみにうちひしがれる中、レリスさんは文章を投稿した。「憎しみに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈することになる」「君たちは私が恐れ、市民を疑いの目で見たり、安全のために自由を犠牲にしたりすることを望んでいるだろうが、君たちの負けだ」とつづった。
レリスさんは17日にラジオ局フランス・インフォのインタビューで、「音楽を愛したり、外出を続けたりするのが最善の反応だ」と述べ、テロに屈しない決意を示すことが最も必要だと強調。文章を執筆した動機については「息子には憎しみの中で育ってほしくない。彼のためにも、怒りや憎しみを忘れる必要があった」と話した。
(2015年11月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
同時テロの衝撃に見舞われたパリ (c) Can Stock Photo
パリが攻撃を受けて数日経っても、テロリストの標的にされた店の名前がなかなか言えない。公共の施設――バタクラン劇場と国立競技場スタッド・ド・フランス――は覚えやすいが、パリ東部地区のカフェやバー――ル・カリヨン、コントワール・ボルテール、ラ・ベル・エキップ――は、それ自体象徴的な場所ではなかった。ただ人々が集うだけの場所だった。
また、流血の惨事があったにもかかわらず、都市としての基本的な構造が物理的にひどい損傷を受けたわけでもない。
確かに、窓ガラスが割れていたり、爆発の爪痕が残っていたりはするが、それを除けば、パリの姿は攻撃の前とほとんど変わらない。
物理的なインフラや経済――フランスのエネルギー供給、通信、サプライチェーン――を停止させるという点では、イラク・シリアのイスラム国(ISIS)はわざわざ攻撃などしなくてもよかったくらいだ。
アルカイダはフランチャイズ型、ISISはアウトソース型
アルカイダの国境を越えた経営モデルは、グローバルなフランチャイズビジネスと比較される。半ば独立したいろいろな集団がアルカイダというブランドを掲げつつ、独自の攻撃計画を練って実行するからだ。
パリの事件から判断するに、ISISはアウトソーシングの方を好んでいる。軍隊仕様の兵器のサプライチェーンを擁するところから爆破計画を外国で策定するところまで、この団体はまるで多国籍企業のようだ。「デザインはシリア、生産はベルギー」がISISのスローガンであってもおかしくない。
しかし、できるだけ多くの人を死に至らしめようという考えに取り憑かれたイスラム主義者のテロリストが経済に及ぼすインパクトは、観光旅行業を別にすれば、最小限にとどまるのが普通だ。2001年9月11日のテロ攻撃は最初に900億ドルの損害をもたらしたものの、その後は長期的な影響をほとんど及ぼさなかった。2008年の世界金融危機や、世界のサプライチェーンが断たれた2011年の日本の大地震の方が打撃は大きかった。
パリでは死者がかなりの数に上ったが、金銭面での影響は、2012年にドイツの化学工場で起きた爆発事故のそれにも及ばなかった。この事故では従業員が2人死亡し、自動車のブレーキ・燃料系統の部品に用いる樹脂の生産が止まって欧米の自動車メーカーへの部品供給が滞った。
この理由だけでも、ISISとの戦争だとするフランソワ・オランド大統領の発言は見当違いだ。
確かにISISは、制圧した地域内の石油産業を支配することによりシリアとイラクの領内で国家を築いた。しかし、国境を越えるISIS流のテロは戦争とは違う。
ISISの攻撃が戦争ではない理由
人を殺すのは恐ろしいことだが、それだけでは戦争とは言えない。1940年代にナチスがロンドン東部の港を爆撃したように、インフラを破壊したり、物資の供給に打撃を与えたりしなければならないのだ。
財界の要人を主たる標的にすることが多かった左翼テロを1990年代半ばに凌駕したイスラム主義者のテロは、これをやらない。ISISの言うところの「グレーゾーン(カリフ制国家に囚われることを好まず、どこかほかの場所で自由を謳歌したいと考える何百万人もの人々のこと)」でテロを扇動することにより、文明の衝突を激化させようとする。
「売春と悪の都を標的にする」ことについて冷酷な言葉遣いをする裏側で、ISISは現実をちゃんと理解している。フランス経済を破壊したいと思っているが、それほどの力は持っていないことを分かっているのだ。
テキサス大学でテロの経済的影響を研究しているトッド・サンドラー教授が述べているように、「彼らは我々をとても怖がらせることはできるが、経済には大きな影響を与えないように思われる」。
これは規模の問題でもある。テロ攻撃はそのほとんどが小規模で、影響が及ぶのは特定の地域に限られる。今回のパリのものでさえもそうだ。発生した時に近くにいなければ危険はない。またこれは、多角化した現代経済の復元力の反映でもある。確かに、電力や通信のインフラには急所がいくつか存在するが、その大半はしっかり守られている。テロリストの標的になりやすいものは、金銭的にはさほど重要ではないのだ。
「個々の企業は困るかもしれないが、産業全体は非常に頑強だ」。マサチューセッツ工科大学(MIT)のヨッシー・シェフィー教授はこう話す。テロが長期的なダメージをもたらすためには、継続的に実行し、的を絞り、かつ小さな地域に狙いを定める必要がある。
スペインのバスク地方では、分離主義者の20年に及ぶ活動によって経済全体の産出額が10%押し下げられたと推計されている。
この活動はイスラム主義者のテロとは異なり、大半が産業施設を狙ったものだった。
一部の国が示唆しているように出入国管理を再開し、ヒトとモノの自由な移動を認めるシェンゲン協定を骨抜きにするという対応を各国政府が取れば、今回のパリへの攻撃はフランスやほかの欧州諸国の経済を減速させるかもしれない。シティグループのエコノミストらは今週、「グローバル化の柱の1つに対する反発が強まっている」と警告を発した。
ISISはこれを自分たちの宗教的な攻撃の経済的副作用として歓迎するだろうが、それも既定事実ではない。ニューヨークの世界貿易センターに対するテロ攻撃や2004年のマドリード列車爆破テロといった攻撃は、国際貿易の伸びを鈍らせなかった。貿易の伸びの減退――1987年から2007年にかけての伸びが平均7.1%だったのに対し、2013年には3%に低下した――には、ほかに原因があった。
国際通貨基金(IMF)のある研究によれば、最も重要な要因は、米国と欧州から中国、アジアへの生産アウトソーシングが長期にわたって成長した後、サプライチェーンの細分化と工業部品の「行き来」が安定したことだ。グローバル化が休止したのは、テロや貿易保護主義のせいではなく、それが限界に達したからだ。
テロのロジックと限界
テロリズムには独自のロジックがある。テロは、それがもたらす危険をはるかに超えた恐怖を助長する。人員採用のためのマーケティングキャンペーンでもある。テロは、その立案者が望むことをやる。だが、地震などの自然事象や産業と貿易の盛衰と比べると、大規模な攻撃でさえ経済的には大したことではない。
残虐な行為に直面した時に心に留めておくのは難しいが、それが現実だ。多くのパリ市民が倒れたが、パリは立っている。By John Gapper © The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. Please do not cut and paste FT articles and redistribute by email or post to the web.
2015年11月16日
11月15日、過激派組織「イスラム国」がシリアとイラクの支配地域で米国などから軍事的反撃を受けるなか、9月にフランスやその他の地域への攻撃を決断した可能性がある。パリで14日撮影(2015年 ロイター/Christian Hartmann)
[ベイルート 15日 ロイター] - 過激派組織「イスラム国」がシリアとイラクの支配地域で米国などから軍事的反撃を受けるなか、9月にフランスやその他の地域への攻撃を決断した可能性がある。
シリア国内にいるイスラム国戦闘員の1人は、同組織のアブ・モハメド・アドナニ報道官が海外での活動を指示していたと話す。
「活動を開始するよう文書で2カ月前に指示があった。レバノンやフランス、その他の地域はすべて作戦の一部に含まれていた」と、この戦闘員はソーシャルメディアを通じて語った。
イスラム国は、13日に仏首都パリで発生し、少なくとも132人が死亡した同時多発攻撃について、フランスによる空爆への報復として実施したとする犯行声明を出した。
その前日には、レバノンの首都ベイルート郊外で2件の自爆攻撃を行い、43人の犠牲者を出した事件で犯行声明を出している。現場は、シリアでイスラム国と戦うイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の拠点地区だった。
イスラム国はまた、乗客乗員224人が死亡した10月31日のロシア機墜落でも犯行声明を出している。ロシアはシリアの同組織に対し、独自に空爆作戦を開始していた。
また2人のトルコ治安筋は15日、ロイターに対し、当局が拘束した英国人が、パリで起きたような攻撃をイスタンブールでも計画していた可能性があると語った。
イスラム国はサウジアラビア、米国、ロシアも攻撃すると警告している。
イスラム国の組織は複雑であり、秘密裏に運営されている。大まかに言えば、アブ・バクル・バグダディ容疑者がイスラム共同体の指導者「カリフ(預言者ムハンマドの後継者)」として組織の頂点に立ち、その下に強力な権限を持つ同容疑者の代理が存在する。また、軍事的・宗教的指導者らから成る評議会があり、同容疑者に戦略や軍事計画についてアドバイスを行っている。
イスラム国は、欧州を含む世界各地から多くのジハーディスト(聖戦主義者)志願者を引きつけているが、一部の欧州諸国による治安強化により、同組織の支配地域への流入が妨げられている。
その対抗策として、イスラム国は中東にある拠点から志願者たちに接触し、「一匹オオカミ」として、もしくは小さな集団を形成して自身が居住する国で独自に攻撃を実行するよう奨励している。
イスラム国戦闘員の1人によれば、休眠している下部組織同士は連絡を取り合わないが、「海外作戦」を指揮する特別組織の攻撃命令には応じるという。
この特別組織の責任者についてはほとんど知られていない。この戦闘員によると、同責任者はヨルダン国籍でシリアとイラクの指導部と緊密に連携し、両国を往来している人物だと語った。この責任者はニックネームでしか知られていないという。
米ニューヨーク・タイムズ紙が欧米当局者らの話として伝えたところによると、パリの容疑者らは実行前にシリアのイスラム国メンバーと通信していたという。
イスラム国戦闘員たちは、パリへの攻撃は組織内の士気を高めたと話す。同攻撃の前には、支配下に置いていたイラク北部の都市シンジャルのほか、シリアにあるイラク国境沿いの戦略的都市を失っていた。
シリア政府軍もロシア軍の空爆やヒズボラの支援を受け、軍事基地を奪還していた。
イスラム国は西側諸国内での攻撃をたびたび示唆するが、同組織の支持者たちは、イスラム教徒を差別しているためだとして、フランスとの戦いはとりわけ優先順位が高いと語る。
「これは始まりにすぎない。われわれはマリで味わった苦しみやフランス人の傲慢(ごうまん)さを絶対に忘れない」と、シリアにいる戦闘員は、西アフリカのマリ共和国でイスラム系武装組織に対して行われた仏主導の軍事行動に言及し、このように述べた。
仏当局によると、13日の事件は3つの編隊が組織的にバーやコンサートホール、スタジアムを襲撃。国境をまたいだ捜査が進むなか、検察当局は今回の事件について、仏国内のほか、中東、ベルギー、ドイツなど多国籍が絡んだ組織が関与したとみている。
米国主導の有志連合のほか、今ではロシアも軍事作戦を開始しており、イスラム国は一段と強化される反撃に苦しんでいる。
トルコもまた、外国人戦闘員がイスラム国支配地域に流入するのを阻止するため、国境警備を強化するよう国際社会から圧力を受けている。
米国主導の有志連合がシリアとイラクのイスラム国支配地域に空爆を始めてから、同組織の支持者たちの反欧米感情は劇的に高まった。そうした態度は今後も変わらないと彼らは話す。
「われわれはイデオロギーに基づいて行動している。イデオロギーをどうやって倒すのだ。もしくは信奉者である人をどうやって負かすというのだ。われわれ真のイスラム教徒に対する戦いが激しくなるほど、われわれの信仰やカリフ国家への献身も強まる」と、ある支持者は語った。
「(イスラム)国は明日何をするかは語らない。だが、罰を受けるのは世界であり、そうなるだろうと世界に向けて発信したのだ」(Mariam Karouny記者 翻訳:伊藤典子 編集:新倉由久)
後藤さん殺害映像の男に無人機攻撃=黒覆面「ジハーディ・ジョン」--米軍時事通信 11月13日(金)
【ワシントン時事】米国防総省は12日、米軍が過激派組織「イスラム国」の拠点であるシリア北部ラッカで同日、モハメド・エムワジ容疑者を標的に、無人機による攻撃を実施したと発表した。
英国籍のエムワジ容疑者は「ジハーディ(聖戦士)・ジョン」の名で知られ、フリージャーナリストの後藤健二さんを殺害したと主張する映像に登場していた。
国防総省のクック報道官は「作戦の結果を評価中だ」と述べ、エムワジ容疑者の死亡確認を避けた。ただ、CNNテレビは、同容疑者を殺害したと米当局は確信していると報道。ABCテレビによれば、同容疑者は建物を出て車に乗り込んだところで、無人機から攻撃を受けたという。
エムワジ容疑者は「ビートルズ」と呼ばれる「イスラム国」の英国籍4人組のリーダー格とされ、黒覆面姿で多数の人質殺害映像に「出演」してきた。後藤さんのほか、湯川遥菜さんや、米ジャーナリストのジェームズ・フォーリー氏ら複数の米英人の殺害に関与したとみられ、米欧当局が1年以上にわたり居所の特定を進めていた。
同組織が2月1日(日本時間)に公開した後藤さん殺害映像では、エムワジ容疑者は後藤さんとみられる男性を前に「日本の悪夢が始まる」などと述べ、米国と協力する日本の国民を狙った攻撃を警告していた。
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パリ同時多発テロが起きるほどにIS膨張を許した戦犯は誰か?
北野幸伯 [国際関係アナリスト] 2015年11月20日 DOL
11月13日、世界は「9.11」以来の衝撃に襲われた。パリで「同時多発テロ」が起こり、129人が犠牲になったからだ。イスラム国(IS)による犯行と見られるこの事件によって、世界はどう変わっていくのだろうか?
突如現れて広大な地域を占領したIS、米国は過去に彼らを支援していた
今回のテロについて、フランスのオランド大統領は、即座にISの犯行と断定。そして、IS自身、「犯行声明」を出している。
反アサド派国家たちが支援した結果、ISは広大な地域を占領する力を手にした。パリ同時多発テロの背景には、関係諸国による「代理戦争」がある Photo:AP/AFLO
2014年に「どこからともなく」現れ、いきなりイラクとシリアにまたがる広大な地域を占領したIS。日本人には、「唐突に」登場したように見える。
しかし、ある集団が強い勢力を持つには、「金」と「武器」が必要だ。彼らは、どこでそれらを得たのだろうか?まず、ここから話をはじめよう。
以下は、AFP-時事2013年9月21日付からの引用。「シリアの反体制派同士が、ケンカし、戦闘になったが和解した」という内容である(太線筆者、以下同じ)。
<シリア北部の町占拠、反体制派とアルカイダ系勢力 対立の背景
トルコとの国境沿いにあるシリア北部アレッポ(Aleppo)県の町、アザズ(Azaz)で18日に戦闘になったシリア反体制派「自由シリア軍(Free Syrian Army、FSA)」と国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系武装勢力「イラク・レバントのイスラム国(ISlamic?State of Iraq and the Levant、ISIS)」が停戦に合意したと、イギリスを拠点とするNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatoryfor Human
Rights)」が20日、明らかにした。>([AFP=時事])
短いが、ISに関する「2つの重要な事実」(知らない人にとっては衝撃的な)を含んでいる。まず、ISは、13年9月時点で「アルカイダ系」であった。(その後、アルカイダから独立)。2つ目は、この時点で、ISはシリアのアサド政権と戦う「反体制派」(=反アサド派)に属していた。
これがなぜ「衝撃的」なのか?「アルカイダ」については、説明する必要もないだろう。米国で01年9月11日「同時多発テロ」を起こしたとされるテロ組織だ。「米国最大の敵」とされた。ISは「アルカイダ系」なので、「米国の敵」なのはわかる。しかし…。11年にシリアで内戦が起こった時、米国はアサド現政権ではなく、「反アサド派」を支援した。その時のことを思い出していただきたい。
米国は、「悪の独裁者アサド」「民主主義を求める善の反アサド派」という構図を、全世界で宣伝した。ところが、その「善の反アサド派」の中に、「アルカイダ系」の「IS」も入っていたのだ。つまり米国政府は、「最大の敵であるはずのアルカイダ系ISを含む勢力を、『善』と偽って支援していた」ことになる。
ISを含む「反アサド派」に6000億円もの支援をしたのは誰か?
もう少し詳しく、ISのルーツを見てみよう。ベストセラー「イスラーム国の衝撃」(池内恵著)にISの組織と名称の変遷が記されている(65~68p)。
1999~2004年10月:「タウヒードとジハード団」
2004年10月~2006年1月:「イラクのアルカイダ」
(この時点では、はっきり「アルカイダ」を名乗っている)
2006年1月~10月:「イラク・ムジャーヒディーン諮問評議会」
2006年4月~2013年4月、:「イラク・イスラム国」
(ここで、「イスラム国」という名に変わった)
2013年4月~2014年6月、:「イラクとシャームのイスラム国」
2014年6月~、:「イスラム国」
次に、ISが急速に勢力を拡大できた理由を見てみよう。既述のように11年、シリアで内戦がはじまった。ロシアとイランは、アサド現政権を支持、支援した。
一方、欧米は「反アサド派」を支援した。さらに、トルコ、サウジアラビア、ヨルダン、エジプト、アラブ首長国連邦、カタールも「反アサド派」を支持、支援した。これらは「スンニ派」の国々である。アサドは「シーア派」の一派である「アラフィー派」。彼らは、アサドを政権から追放して「スンニ派政権」 をつくりたいのだ。
ところで、一言で「反アサド派」といっても、さまざまな勢力がある。そこで12年11月、「反アサド諸勢力」を統括する組織として、「シリア国民連合」がつくられた。著名なアラブ人ジャーナリスト・アトワーン氏の著書「イスラーム国」には「どの国が、反アサドを支援したのか」に関して、こんな記述がある。
<サウディアラビアとカタールが革命勢力に資金、武器支援を行った。『ニューヨーク・タイムス』は、二○一二年一月、カタールが武器を貨物機に載せてトルコに運び、革命勢力に供与していたと報じた。サウディアラビアも軍用機でミサイルや迫撃砲、機関銃、自動小銃をヨルダン、トルコに運び、シリア国内に送り込んでいた。
非公式の情報に基づけば、サウディアラビアは五○億USドル(約六一五○億円)を、武器支援などのシリア反体制派支援に費やしたという。>(203~204p)
アトワーン氏は「非公式の情報」と断っているが、6000億円以上の金、武器が「反アサド派」に提供され、その一部が(反アサド派にいた)ISに流れたとすれば、彼らが突然「勃興した理由」もわかる。
ここまでで分かるように「シリア内戦」は欧米vsロシア、そして、スンニ派諸国vsシーア派の「代理戦争」と化した。そして、欧米や、サウジアラビアなどスンニ派諸国からの支援こそが、ISを短期間で一大勢力に成長させたのだ。
ちなみにオバマは13年8月、「アサド軍が化学兵器を使った」ことを理由に、「シリアを攻撃する」と宣言。しかし翌月には、「やはり攻撃はやめた」と戦争を「ドタキャン」して世界を驚かせた。この頃からISは「反アサド派」や「アルカイダ」の枠を超え、独自の動きをするようになっていく(アルカイダは14年2月、ISに「絶縁宣言」をした)。
やる気のない欧米の空爆を尻目に勢力を拡大、プーチンの本気の攻撃でピンチに
独自勢力になったISは、次々に支配地域を拡大し、さらなる金と武器を手にしていく。14年6月10日には、イラク第2の都市モスルを陥落させた。ここには大油田があり、ISは重要な「資金源」を得ることに成功する。同年6月29日、ISのリーダー、アブー・バクル・アル=バグダーディーは「カリフ宣言」を行った。つまり彼は「全イスラム教徒の最高指導者である」と宣言したのだ。
ISの現在の資金や武器は、どうなっているのだろうか?前述の本「イスラーム国」によると、資金源は以下の通りである。
・ イラク中央銀行から、5億ドルを強奪した。
・石油販売で、1日200万ドルの収入を得ている。
・支配地域の住民約1000万人から税金を徴収している。
武器については、
・イラクとシリア両国政府軍拠点を制圧し、米国製、ロシア製の武器を大量に奪った。
・2700を超える、戦車、装甲車、軍用車両を所有している。
さて、米国は14年8月、「ISへの空爆を開始する」と発表した。同年9月には、今回テロが起こったフランスが空爆を開始。その後、「有志連合」の数は増えていった。しかし、米国を中心とする空爆は、あまり成果がなく、ISはその後も支配領域を拡大していった。
米国を中心とする空爆に「やる気」が感じられないことについてロシアは、「ISを使ってアサド政権を倒したいからだ」と見ている。
15年9月30日、状況を大きく変える出来事が起こる。ロシアが、シリア領内のIS空爆を開始したのだ。ロシアの動機は、親ロ・アサド政権を守ること。そのため空爆も「真剣」である。1ヵ月半の空爆の結果、シリアのISは大打撃を受け、アサド政権は息を吹き返した。
アサド軍は現在、着実に失地を回復している。追いつめられたISのメンバーが、難民に紛れ込み、欧州に逃亡を図っている可能性は高い。こんな状況下で11月13日、「パリ同時多発テロ」が起こったのだ。
パリ同時多発テロ」で世界情勢はどう変わるか?
次に、「パリ同時多発テロ」で「世界はどう変わるのか?」を考えてみよう。
<フランス>
まず、テロが起こったフランスは、ISに復讐しなければならない。ここで空爆を止めれば、「テロに屈した」ことになるからだ。実際、テロ翌々日の11月15日、フランス軍は、ISが「首都」と称するシリア北部の都市ラッカを空爆した。これは、今までで最大規模の攻撃だった。また、フランスは、原子力空母「シャルル・ド・ゴール」をペルシャ湾に派遣し、4ヵ月間駐留させることを決めている。オランド大統領は、今回のテロを「戦争行為」と断じ、最後まで戦い抜く決意を示した。
<欧州全体>
欧州全体を見ると、今後難民に対する姿勢が硬化するだろう。難民の中にISメンバーが多数含まれている可能性は高い。とすれば、欧州は、「便衣兵」(敵を欺くために私服を来ている兵士)を大量に受け入れていることになる。規制が強まるのは、やむをえない措置といえるだろう。
<ロシア>
不謹慎な言い方だが、事実として、「楽になる」のがロシアである。1年8ヵ月前、「クリミア併合」を決断したプーチンは、「ヒトラーの再来」「世界の孤児」と呼ばれていた。しかし、現在、「クリミア」「ウクライナ」のことを思い出す人は、ほとんどいない。それどころか、プーチンは、欧米にとって「対IS戦争の同志」になりつつある。
ロシアが空爆をはじめた当初、欧米は、「『IS』ではなく、『反アサド派』を攻撃している」と批判した。ところが1ヵ月半の空爆で、実際にISは著しく弱体化している。オバマとプーチンは11月16日、G20が開かれていたトルコ・アンタルヤで会談。そこで、オバマは、ロシアの空爆に理解を示した。
<<米露首脳会談>「シリア和平必要」…露IS空爆に米が理解
米国のオバマ大統領とロシアのプーチン大統領が15日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開催中のトルコ・アンタルヤで会談し、シリア内戦の終結に向け、国連の仲介によるアサド政権と反体制派の交渉や停戦が必要だとの認識で一致した。? オバマ氏はロシア軍が9月末にシリアで始めた過激派組織「イスラム国」(IS)への空爆にも一定の理解を示した。>(毎日新聞11月16日(月)12時28分配信)
さらに、オランド大統領は11月17日、米国だけでなく、「ロシアと協力して」「イスラム国」と戦う意志を明確にしている。
<仏米ロ、シリア北部のIS空爆 軍事的連携を強化へ
フランス、米国の空軍は17日、過激派組織「イスラム国」(IS)が首都と称するシリア北部ラッカを空爆した。
パリの同時多発テロ後、仏空軍による空爆は2度目。
これとは別に、ロシア空軍もラッカを空爆した。
仏ロ関係はウクライナ紛争で冷え込んだが、オランド仏大統領は16日の演説で、対ISで従来の米国に加えてロシアとの軍事的連携も強化すると述べた。>(朝日新聞デジタル11月18日(水)2時0分配信)
自称“国家”のISは消滅するがテロは今後も続く
<米国>
米国は、今までの「ダラダラ空爆」を改めざるを得なくなるだろう。このままロシア軍がISを征伐してしまえば、超大国の威信は失墜する。これから米国は、「有志連合軍」を率い、真剣にISと戦うことになる。
ちなみに、「反IS」で欧米ロが一体化することは、米国に「もっと大きな利益」をもたらすことになる。現在、米国最大の問題は、「中国の影響力が米国に迫っていること」である。実際、57もの国々が、中国主導「AIIB」への参加を決めた。その中には、英国、ドイツ、フランス、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国など、「親米国家群」も含まれる(彼らは、米国の制止を無視して参加を決めた)。
特に、伝統的に「親米」だった欧州が、「米中の間で揺れていること」は、非常に問題だ。米国は、ISとの戦いを主導することで、欧州との関係「再構築」をはかるだろう。そして、「中国と対抗するためにロシアと和解する」のは、筆者が4月28日の記事で予想したとおりである(記事はこちら)。つまり、「パリ同時多発テロ」がなくても、両国は和解に向かっただろう。しかし、テロはそのプロセスを速めた。
<IS>
では、「パリ同時多発テロ」を起こしたとされるISはどうなるのだろうか?欧米ロが一体となって、全力をあげて攻撃をしかけるのだから、どう考えても勝ち目はない。結局彼らは、支配地域を失い、欧州、ロシア、旧ソ連諸国などに散らばっていくだろう。支配地域を持たない古巣のアルカイダ同様、世界のさまざまな地域でテロ行為を続ける。
ISという、自称“国家”は消滅するが、そのメンバーは、これからも世界各地でテロを行い、民衆を恐怖させるだろう。
2015/11/17 日経Net
内閣府が16日発表した2015年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%減、年率換算では0.8%減だった。4~6月期(年率換算で0.7%減)から2四半期連続のマイナス成長となった。中国景気の不透明感などを背景に、企業の設備投資が低調だった。実質賃金の改善傾向が続く中で、前期に落ち込んだ個人消費は持ち直した。
QUICKが13日時点で集計した民間予測の中央値は前期比0.1%減、年率で0.3%減だった。
生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.0%増、年率では0.1%増だった。僅かながら、4四半期連続のプラスだった。
実質GDPの内訳は、内需が0.3%分のマイナス寄与、外需は0.1%分の押し上げ要因だった。
項目別にみると、設備投資は1.3%減と、2四半期連続のマイナスだった。企業収益は過去最高水準で推移しているが、設備投資への意欲は高まらなかった。企業が手元に抱える在庫の増減を示す民間在庫の寄与度は、0.5%分のマイナスだった。
個人消費は0.5%増と、前期(0.6%減)から2四半期ぶりに増加に転じた。公共投資は0.3%減と、2四半期ぶりにマイナスとなる一方、住宅投資は1.9%増と3四半期連続でプラスだった。
輸出は2.6%増、輸入は1.7%増だった。輸出の回復ペースは鈍かったものの、原油安などの影響で輸入の伸びも小さく、GDP成長率に対する外需寄与度はプラスとなった。
総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス2.0%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.2%上昇した。
2015年度の実質GDP成長率が内閣府試算(1.5%程度)を実現するためには、10~12月期、16年1~3月期で前期比年率4.7%程度の伸びが必要になるという。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
カザフスタンに謎の地上絵 NASAが撮影2015/11/21日経Net
カザフスタンの台地に四角形に並べられた盛り土は、新たに発見された地上絵のなかでは最大のもの。(PHOTOGRAPH BY DIGITALGLOBE VIA NASA)
中央アジアのカザフスタンで見つかった謎の地上絵が話題を呼んでいる。上空から見ると、巨大な円、十字、四角、さらにかぎ十字まで様々な図形が、盛り土を並べて描かれている。米航空宇宙局(NASA)が最近、これらの地上絵をとらえた衛星写真を新たに公開し、広く世間に知られることになった。
最初に見つけたのは、カザフスタン北部の町クスタナイに住むビジネスマンのディミトリー・デイ氏。テレビで古代エジプトの番組を見て以来、自分の国にも何か面白そうな古代遺跡はないかと、グーグルアースを使って衛星画像を調べていたところ、人里離れた草原地帯のいたるところに、人の手によるものと思われる奇妙な図形が点在しているのを発見した。以来8年、地上絵はいつ、何のために作られたのか、デイ氏のチームを含め複数のチームが調査を進めてきた。
■年代をめぐる対立
リトアニア歴史研究所の考古学者ギードレア・マツゼビシウテ氏は、カザフスタンのクスタナイ大学のアンドレイ・ログビン氏率いる国際研究チームの一員として、人工的に作られた55カ所の地上絵のうち2カ所を調査した。「建造には大変な労力を要したと思われます。ここにある土は大変重量があって、粘土のようです。それに、何もない草原のど真ん中に作られていました」と同氏は語る。
この円形の地上絵は、中央アジアで最初の町が出現した鉄器時代幕開け頃(紀元前800年頃)のものと思われる。(PHOTOGRAPH BY DIGITALGLOBE VIA NASA)
地上絵は、民家のまばらなカザフスタン中央のトゥルガイ地域で発見された。うち十字形が21個、四角形が1個、円形が4個、そしてかぎ十字形のものが1個見つかっている。多くが、フットボール場をすっぽりと覆うほどの大きさだ。
4年前に地上絵の存在を知ったというマツゼビシウテ氏は、発見はデイ氏の功績であるとした上で、地上絵は大きく分けて2つのタイプに分類されるとする。第1のグループは、河川の流域を見下ろす小高い台地に描かれたもの。かぎ十字形を含む第2のグループは、川沿いの、紀元数世紀頃にできたとされる埋葬地の近くにある。かぎ十字はナチスのシンボルとして有名だが、古代の中央アジア地域ではよく使われていた形である。
マツゼビシウテ氏の研究グループは、最新の年代測定方式を用いて、地上絵のうちのひとつが作られた時期を紀元前800年頃、もうひとつが紀元前750年頃と推定した。鉄器時代の幕開けであり、この地域に初めて町や大きな建物が現れた時代に当たる。
放射性炭素年代測定に必要な有機物が採取できなかったため、年代測定には光刺激蛍光線量計(OSL)を採用した。これは、試料が太陽光へさらされてからどのくらいの期間が経過したかを測定するもので、誤差はわずか20年ほど。
一方、発見者のデイ氏もクスタナイ大学のカザフスタン人考古学者を含む研究チームを結成し、盛り土に見られる浸食の程度や現場周辺で見つかった新石器時代の石器などから年代を推定、地上絵は8000年前のものであると主張している。
しかし、盛り土はずっと後の時代に作られたもので、そこに昔の石器が混ざった可能性もあると、マツゼビシウテ氏は反論する。また、浸食の度合いから年代を推定するのは難しい。デイ氏が調査した地上絵については年代測定や発掘調査が行われていないが、マツゼビシウテ氏は2000年前より古くはないだろうと考えている。
かぎ十字風のこの地上絵は、カザフスタンの草原を流れる川沿いの低地に作られたもの。(PHOTOGRAPH BY DIGITALGLOBE VIA NASA)
■天体観測所か それとも道しるべか
年代よりもさらに謎なのが、これらの地上絵が描かれた目的である。デイ氏は、新石器時代の太陽崇拝に使われた天体観測所ではないかと主張している。
しかし、考古学者らはその意見にきわめて懐疑的だ。米ワシントン大学の考古学者マイケル・フラチェッティ氏は、「どんな解釈でも、しようと思えばできます。動物用の囲いの跡でも、ソビエト時代の水道でも、ストーン・サークルでも」と指摘する。同氏は中央アジアで発掘調査を行っているが、今回の研究には加わっていない。
マツゼビシウテ氏は、明確な答えを得るにはまだ多くの研究が必要であると認めながら、「遠くからも見える、道しるべのようなものだったのではないか」と語る。「空からでなければ確認できないナスカの地上絵とはまた異なるものです」
川沿いで見つかっている第2のグループについては、「タムガ」の一種ではないかとの見方もある。タムガとは、ユーラシアの部族が動物への焼き印または領地を線引きするのに用いた印章である。
謎に包まれた地上絵は、このような十字形をしたものが最も多い。(PHOTOGRAPH BY DIGITALGLOBE VIA NASA)
デイ氏は、地上絵の数は260個あるとしているが、マツゼビシウテ氏は、その中には後の時代のクルガンと呼ばれる墳墓や、もっと最近に作られた動物の囲いなども含まれていると指摘。本当に古代のものはおそらく55個、そのうち実際に現地で研究者が確認したものは半分にすぎないという。「衛星写真だけを見て、実際に現地を訪れていないのであれば、間違った解釈をする恐れがあります」
デイ氏とマツゼビシウテ氏はともに、近い将来、研究論文を発表したいと考えている。デイ氏はすでに仕事を辞め、このプロジェクトに注力するつもりだ。(文 Andrew Lawler、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2015年11月6日付]
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5.Economy・Politics・Military Affaires
2015年11月16日 TK
道頓堀御堂筋店はインバウンド強化型の店舗だ
11月も半ば。2015年もすでに終盤戦です。この時期恒例となった今年の流行語大賞のノミネートを見てみると、お笑いや政治関連の言葉が多い中、「インバウンド」「爆買い」のキーワードが目に入りました。
昨今、中国の旧正月である春節や、建国記念日にあたる国慶節といった中国の大型連休の時期になると「爆買い」のニュースがあちこちで報道されますが、今年はことのほか多かった気がします。
中国からはもちろん、韓国や台湾、香港、タイなど、アジア圏を中心に外国人観光客は年々増加傾向にあり、年間を通じて恒常的に来日しています。そんな外国人観光客にとっての買い物天国が、大型ディスカウントストアのドン・キホーテです。
インバウンドは大阪・道頓堀が熱い!
ドン・キホーテの店舗というと、首都圏在住の読者の方は新宿歌舞伎町の入口にある「新宿東口本店」や渋谷の道玄坂にある「渋谷店」などを思い浮かべる人も多いかと思いますが、このインバウンド需要については、実は関西圏が非常に伸長しています。
ドン・キホーテ全店における免税売上高構成比の上位店舗を見てみると、1位は今年6月オープンしたばかりの大阪の「道頓堀御堂筋店」がランクイン。2位はこの店舗から300メートル足らずの「道頓堀店」、3位は沖縄の「国際通り店」、4位に「銀座本店」、5位が「新宿東口本店」となっています。
大阪は昨今、ユニバーサルスタジオジャパンや近隣の京都観光からの立ち寄りだけでなく、買い物中心のツアー客も多くなっているといいます。ドン・キホーテ道頓堀御堂筋店は、道頓堀川と大阪市の中心部を縦断する御堂筋沿いに位置するインバウンド強化型の店舗。2位の道頓堀店はグループ全店舗で訪日外国人に対する免税売上高ナンバーワンの店舗です。
新店である道頓堀御堂筋店では1階にニーズの高い菓子や医薬品、全国のおみやげ、2階に生活用品、3階に化粧品、4階に家電など、フロア別にテーマを設定し、目的型の買い物がしやすい売り場づくりを行っています。同社では近年、国内外からの観光客で賑わいを見せる大阪ミナミの変遷に合わせ、店舗体制を強化。インバウンド需要をさらに取り込んでいきたいという考えです。
では実際にドン・キホーテで、外国人観光客に人気のおみやげを見ていきましょう。ここでは高級時計やブランド品を除いた、「爆買い」のフレーズにふさわしい大量購入されている日常使いのアイテムを検証してみたいと思います。
たくさんのキットカットが並ぶお菓子売り場
まずはバラマキみやげの定番であるお菓子類。以前の連載記事「出張、旅行のおみやげは現地スーパーで探せ」でもご紹介しましたが、外国人観光客にとっても、やはり人気なのはチョコレート菓子。
特に「キットカット ミニ オトナの甘さ 抹茶」など日本特有の抹茶フレーバーのお菓子は飛ぶように売れています。
日本のスーパーでも新茶シーズンになると、抹茶フレーバーの商品を集めてコーナー化をしたりしますが、外国人観光客が多く訪れるドン・キホーテの店舗では、抹茶フレーバーの菓子コーナーを常設している店舗も多くなっています。
次に日用品を見てみましょう。まずはステンレスボトル。意外に感じる商品のひとつですが、同社の広報によると「中国人の方は冷たいペットボトルの飲料を飲む習慣があまりなく、温かいお茶などを好みます。そのため保温性や気密性の高い日本製のステンレスボトルを求める傾向にあります」とのこと。中国の食習慣から考えると納得の内容です。
同じくキッチン用品ではセラミック包丁も人気です。自宅用には高級包丁、親戚に配るのはセラミック包丁といったように、買い分けしているお客もいるよう。同社のプライベートブランド「情熱価格」のセラミック包丁もよく出ているようです。またバラマキやすいものとして、筆者も愛用している「消せるボールペン」も人気の商品となっています。
医薬品の売り場の様子。日本製の医薬品類は外国人観光客に人気が高い
インバウンドを語るうえではずせないのが医薬品類です。昨年秋ごろから中国のSNSや口コミで広がった「神薬12」というキーワード。
これは「日本に旅行へ行ったら買うべき12の医薬品」を指しており、目薬や冷却シート、ビタミン剤から湿布までその種類はさまざまです。その売り上げはすさまじく、ドン・キホーテ全店売上高に占めるインバウンド比率が4%であるのに対して、「神薬12」のインバウンド比率は46.3%にもなります。
またこの神薬ではなくても、日本製の医薬品類は品質の高さから、外国人観光客に人気があります。たとえば「オロナインH軟膏」は「娥羅納英H軟膏」という名前で、香港でも販売されていますが、中国人観光客にとって、日本で販売されている「オロナインH軟膏」は商品名や説明文が中国語ではなく日本語で表記されていることから、特にプレミア感を感じ、おみやげ需要につながっているようです。
医薬品類に続き、化粧品も爆買いされやすい商品です。やはり日本のメーカー品が人気で、特に酵素の入った洗顔パウダーは、現地に比べて安価であることからカゴいっぱいに購入するお客もいるそう。美容ローラーやナノケア対応のドライヤーなど、美容小物家電も人気。小さな子どものいる家庭では、日本製の紙オムツやミルクなどもよく出ています。
これだけの買い物をしたら、荷物がいっぱいになってスーツケースに入らないのでは……と心配になりますが、そこは品揃えの豊富なドン・キホーテ。おみやげを持ち帰るためのキャリーケースもインバウンドの売れ筋商品にしっかりと入っていました。
ドン・キホーテがこれだけ多くの外国人観光客から支持されるのには、れっきとした理由があります。同社では2008年から他社に先がけ、訪日外国人観光客向けへのサービスを強化してきました。免税専用の「ウェルカムカウンター」をはじめ、4カ国語対応のコールセンター「ウェルカムデスク」や、訪日観光客向けの専任スタッフ「ウェルカムクルー」を配置。特に外国人観光客の利用が多い全国20店舗においては、国内初となる外貨7通貨(中国人民元、台湾ドル、韓国ウォン、タイバーツ、香港ドル、米国ドル、ユーロ)のレジ精算サービスを開始しています。
今年の2月には「春節」での需要拡大に合わせて、訪日外国人観光客向けの予約サイト「ウェルカム予約サイト(中国語版)」を開設、他にもまとめ買いのサポートとして空港の配送サービスを行うなど、観光客へのきめ細やかなサービスが外国人観光客の心を捉えているのではないでしょうか。
同社の2015年の国慶節期間の免税売上高は昨年対比で3.5倍と大きく伸長しました。免税の手続きをした客数は7日間で4万2000人。免税の客単価を見てみると、国内客単価平均に対し免税平均は約6.3倍、中国人観光客では約10倍にもなります。
2020年の東京オリンピックにあわせ、外国人観光客の増加が見込まれる日本。外国人向けサービスの充実で波に乗る同社の更なる成長が期待できそうです。
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2015/11/18付
日本経済新聞 電子版
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